痛い
日本勢が軒並み不発に終わり、すっかり盛り下がっている感のあるトリノオリンピックですが、久々に順位の良し悪しを超えた興奮を味わえた競技がありました。同じ感想を持った方は他にもおられるのではないでしょうか。
スノーボードクロス。
変化に富んだコースをスノーボードですべり、速さを競う競技ですが、面白いのは、タイムを競うのではなく、「人」と順位を競うというところ。4人が同時にすべり、かけひき、アクシデントこみで、最終的な順位が上の者が勝つというルールです。
狭いコースを4人もの選手が同時にすべるので、接触なんて当たり前。上位を競っている選手ほどかえってアクシデントに巻き込まれやすく、逆に後ろに離されていた選手がたなぼた的に勝ちを拾うなんてこともあるわけです。
今日、このスノーボードクロスの女子がありました。日本からただひとり出場した藤森由香選手は、アクシデントにも助けられ、7位と大健闘を見せてくれました。メダルを取った取らないではなく、こういうのは嬉しいものですね。
そんなことはどうでもいいんです。
決勝戦。アメリカのジャコベリスという選手が圧倒的な独走をしていました。ゴール直前、最後のジャンプ。彼女は着地に失敗し、転倒。2位の選手に抜かれ、まさかの銀メダルに終わるという大波乱がありました。
最後まで勝敗がわからない、このスノーボードクロスという競技。これでますますファンが増えそうですね。
そんなことはどうでもいいんです。
ジャコベリス選手が転倒した理由。それは、最後のジャンプでエア(ジャンプ中にやる技)をやったから、ということです。
この競技は順位を競う競技。エアなんて必要ありません。ゴールを目前にし、金メダルを確信したんでしょう。「私の晴れ舞台を見て」というような気持ちだったのかもしれません。いっちょエアでも決めてやるか。ひゃっほう!
…あっ。
転倒。
やばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばい
急げ急げ急げ急げ急げ急げ急げ急げ急げ急げ急げ急げ急げ急げ急げ急げ急げ
あーっ、抜かれた…
2着じゃん…
まじ…
ゴ──────────────────────────────ン。
そして後から襲ってくる後悔。
あいたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたた。
こういうときの気持ちを想像すると、本当に心が痛みます。切ないです。
これに似た気持ちを味わった話。
1.兄の友人の話
彼がまだ少年の頃。
ブルース・リーの映画を見てすっかり魅せられた彼は、雑誌の通信販売でカンフーのコスチュームを注文。
届いたコスチュームはペラペラの胡散臭いものでしたが、それでも彼は嬉しくて仕方がありません。憧れのブルース・リーになれたんですから。
そこで彼は友達を近所の空き地に呼び出し、ブルース・リーになった自分を見せびらかすことにしました。
すごいだろ、かっこいいだろ。蹴りだってできるぜ。ワチャー!
ビリ。
股間に穴。
あいたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたた。
2.大学の友人の友人の話
やはり少年時代。
「UFOロボ グレンダイザー」といえば、当時の少年たちの憧れ。♪ゆけー、ゆけー、デュークフリード。
その超合金を買ってもらった彼。嬉しくてたまりません。だって、まだ誰も持っていないんですから。
当然、見せびらかすことに。
さて、UFOロボ グレンダイザーといえば、UFOからロボが飛び出すのが特徴。超合金でもそのギミックは再現されていました。UFOのスイッチを押すと、グレンダイザーがピュッと飛び出す仕掛けです。
こんな素敵な仕掛けを見せびらかしたくないはずがありません。
彼は友達を集め、グレンダイザーの「初飛び出し」を披露することにしました。
いくぞ。見てろよ。それ!
場所が悪かったようです。
当時の道路は、マンホールの蓋が開いていることも稀にあったようです。
ヒュー…(マンホールの中を降下していくグレンダイザー)…ポチャ。
初飛び出し=ラスト・ダイブ。
あいたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたた。
*
この手の話は、どうしてこんなに心が痛むのでしょう。
それはきっと、彼らの幸せで誇らしくてたまらない気持ちが、一瞬にして不幸のどん底に叩き落されるからでしょう。
僕はこんな話が大好きです。
そう、それが言いたかったのです。
P.S.
ああ、オリンピックの話でしたよね。カーリング女子もいいですね。選手がかわいくて。
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