堤防決壊阻止限界点『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』
今日(日付では昨日)は、会社の同僚とこれ見てきました。
昨年秋にフジテレビでスペシャルドラマ化、今年冬には同じくフジテレビで連続ドラマ化された『東京タワー』。2つとも見てしまった僕としては、「また映画も?」という気も若干なくはなかったのですが。
結論からいうと、ドラマを見てしまった人も、この映画を見て損はないです。味わい、深み。あらゆる面で、全然別物です。
トーンとしては、これ見よがしに盛り上げたり泣かせたりしようというような嫌らしさはなく、静かに雪が降り積もるように徐々に思いが高まり、涙腺が次第に満潮を迎える…そんな感じです。
ちょうど涙腺が満潮を迎えつつあるところに、死んだオカンが生前にボクに残した手紙を読むシーンが来て、正直堤防の決壊を覚悟いたしましたが…なんとか持ちこたえました。
でも、隣で見ていた同僚(♂)は、でろんでろんに泣いてました。館内のいたるところからも、鼻をすする音が聞こえてましたね。
悲しさによる涙ではなく、悲しい状況の中に満ちあふれる“幸福”が誘う涙です。
個別のポイントでいうと、フジテレビのドラマ2作と比べ、特に明らかに優れているなあと思ったのは、以下の2点。
(1)筑豊、東京というそれぞれの街の存在感
特に、東京というロケーションの実在感が秀逸だったと思います。東京の圧倒的な大きさ、その中をぽつんと漂うオカンとボクの小ささ…そんな感じ。
(2)オカンの闘病シーンの迫真っぷり
抗がん剤治療をするオカンの苦しみ方が、思わず顔を歪めて目を背けたくなるほどの迫力です。ここで一気に感情移入度アップ。
とても味わい深く、心地いいエンディングを迎えるので、エンディングロールで流れる主題歌『東京にもあったんだ』も感慨ひとしおです。
♪お願いだ 涙は隠さないでくれ〜
♪お願いだ 心は失くさないでくれ〜
福山、グッジョブ!
…と、ひとしきりベタぼめしてみましたが、難点もあるにはあります。
後半、子供の頃のボクや若い頃のオカンが現れて、今のボクに語りかけるシーンが何度か出てくるのですが…全体のトーンからここだけ浮いている気がしました。こういうへんな演出は不要なのではないかと。(原作を読んでないんですが、原作ではどうなってるんだろう?)
あと、エンディングロールが終わった後に、明らかに余計なものが。
『東京タワー応援団』とかなんとかいって、各地の映画館スタッフの名前が流れ出したのです。BGMも何もなく、延々と。
照明が明るくなるまで、この時間をどうやって過ごそうかと思いましたよ。せっかくの映画の感慨も、すっかり興ざめ。
このあたり、ちょっともったいなかったなと思います。
まあ、そんなこんなです。
いい映画ですよ。
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