2007/12/25

強すぎる男の目を通した弱き者の讃歌

永遠を旅する者 ロストオデッセイ 千年の夢
重松 清
講談社 (2007/11/21)
売り上げランキング: 396

いつも読んでる重松清さんが、ゲームの原作小説を手がけたよ、と。
1冊の単行本に31編の短編を収録…ということで、ストーリーはあってないようなもの?どうなの?と半信半疑なりに、買ってみました、読んでみました。

結論としては…いいんでないかい、これは。

けっして死ぬことのない「永遠の生を生きる男」カイムは、歴戦の傭兵。あらゆる修羅場をくぐり抜けてきただけあって、そんじょそこらのことじゃ動じない。そして強い。
でも、この短編集で描かれるのは、その強い彼のことではなく、限りある生を生きている「弱い」人々。弱いながらも懸命に生きる人たちを讃える歌。
「不死の男」を主人公にして、こんな物語の作り方があるんだな。良いです。

しかし。この小説といっしょに作られた『ロストオデッセイ』というゲームは、なんかふつうのファンタジーRPGみたい。小説は、モンスターとか魔法とかの存在はいっさい感じさせず、人間が戦争を繰り返すハードな世界観が描かれていて、その世界観が魅力のひとつだったわけですが、ゲームの方はちょっと違うテイストなのかも。このギャップはどうなのか。

ま、Xbox360は持ってないし買う気もないので、ゲームの文句いってもしょうがないんだけど。

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