2006/10/ 3

殴るよりクリンチ

さっき上司と面談したんですが、そこでこんな話が出ました。
「○○プロジェクトで14chくんに手伝ってもらえないかって話がでたんだけどさあ、Kくんが『14chさんといっしょに仕事したい!』って言ってたよ」

…やあ、嬉しいなあ。

Kくんというのは、入社2年目の若者ですが、情報感度の極めて高いすごい男です。これまでの関わりといったら、一度情報交換的な話をした程度なんですが、一発で彼に感服し、心の中の「ニュータイプ・フォルダ」に彼のアイコンを即ドラッグアンドドロップしました。
そんなやつが僕と仕事をしたがってくれているとは。

僕から見ればやつの方がよっぽどすごいので、僕なんかとみっちり仕事して、「なんだよ、こいつ大したことねえな」とすぐ見限られるんじゃないかとヒヤヒヤもんですけれども。

Kくんの話はさておき。

実は、いろんな人に「この人と一緒に仕事をしたい」と思ってもらえるようにしようというところは、若干意識しているところだったりはします。

たとえば、普段あまり一緒に仕事をしない人と打ち合わせで同席して、そこでその相手が何か意見を言ったとします。
その意見が、自分の考えと全然ずれているということは、よくあることです。

そのとき、ネガティブな理由をぶつけてその意見を否定するのは簡単です。
ただ、それをやると、相手に不満感を抱かせたまま黙らせてしまうか、あるいは互いに意見の噛み合ない人同士という認識を抱いてしまう恐れがあります。そういう関係の片割れになるのは、なんかイヤだなと思うわけです。かっこ悪いなと思うのです。

そこで、心の隅で思うのです。「距離をとって殴り合うんじゃなくて、ここはひとつ強引にクリンチにいってみようじゃないか」と。

で、まずやることは、「ああ、それいいかもしれないですよね」と、口からでまかせに言ってみること。
心の中では、「いいかもしれない」なんて全然思っていないんです、正直。でも、とりあえずまずそう言ってみる。
言ったあとで、どういいかを後付けで考えながらしゃべる。「いいかもしれない」と口に出してしまった以上、そこと整合性を合わせるために、強引にいいところを探すわけです。

そうすると、本当にいいところが見つかるもんなんですよね。
その意見をそのまま採用できるほどの「いいところ」はないにしても、なにかしらいいところはあります。
と、「その意見は却下だろ」と思っていた周囲の人も、「ああ、それはあるかもしれませんね」とか言ってくれたりするようになったりします。

すると、意見を言ってくれた本人は、もっと提案してくれるようになります。「この人は、自分の意見をちゃんと聞いてくれる」という信頼感が芽生えるんだと思います。
そのモードになると「ここはちょっと難しいよね」とか否定的なことをこちらが言っても、スネたりせずに、「じゃあこうするのはどうですか?」と代替案を出してくれる。
そうやっているうちに、最初は使い途のなかった彼の提案が、ちゃんと使えるものになったりするわけです。

そうなったらこっちのものです。「この人は俺の意見を聞いてくれる!もっと一緒に仕事したい!」となるわけですな。まあ、そんな犬みたいな単純ななつき方はしないでしょうけれども(笑)。


俺の考えが正しい、おまえらの考えることはつまらねえと主張し、その場の議論で勝ちをおさめたとして、その結果得られるものは何か。
「これは俺が考えたアイデアだ」
と人に誇示できることくらいです。

そんなことより、「自分のために喜んで提案してくれる仲間を増やすこと」の方が、はるかに貴重なことだと思います。


実際は、そこまで徹頭徹尾策謀に沿って言動をコントロールしているわけでは全然ありませんが(というか、むしろ自分の意見に固執しがちですが)、たまーにはこんなことを意識してしゃべっていたりするわけです。

なーんてことばらしちゃったら、「あ、こいついま策謀巡らしたよ」とかバレちゃいますかねえ?でも、騙してるわけじゃないから、べつにいいよね。

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