2006/1/19

氷壁(土曜10時 NHK)

1クール放送される民放の連続ドラマとは違うんですが。NHKで放送されている、全6回のドラマです。

このドラマは、山岳小説の名作といわれている(らしい)井上靖の同名小説が原作になっています。
井上靖というと、小学生~中学生くらいによく読みました。有名な「あすなろ物語」にはじまり、「しろばんば」「夏草冬濤」「北の海」「敦煌」「楼蘭」など…。この「氷壁」という作品は読んだことがありませんが、井上靖原作小説のドラマ化ということで、興味を引かれ、見てみることにしました。

内容は、エベレストよりも登頂が難しいといわれる、世界最難関の高峰・K2への挑戦を背景に繰り広げられるラブサスペンス(らしい)です。
第1回のストーリーは、ビルの窓拭きで細々と稼ぎながら登山活動をしている奥寺恭平(玉木宏)と、その親友で、トップクライマーとしての名声を得ている北沢彰(山本太郎)が、昔の事故以来ふたりの間にあるわだかまりを解消し、K2マジックラインの登頂に向かうところまで。
番宣予告によると、どうやらこの後、北沢の死、そしてその死をめぐり疑惑を向けられた奥寺の裁判、登山用品メーカー・ヤシロの思惑、若き社長夫人・美那子と奥寺の恋などが絡まりあって、ストーリーが展開していくようです。

まず目に付くのは、映像の雄大さです。K2登山シーンはの撮影は、ロード・オブ・ザ・リングの撮影にも使われたニュージーランドロケで行われたそうで、玉木宏・山本太郎本人が過酷なロケに挑んだそうです。ふたりが雪原を行く様子をヘリで空撮した映像は圧巻です。また、奥寺・北沢が垂直壁を上るシーンなども、本人が実際に上っているかのような出来です。映像の重みを出すために、本気で映像作りに取り組んでいることが伺われます。これは民放ドラマではなかなかできないことなのではないでしょうか。

公式サイトによると、原作の設定をすべて現代に置き換えたとのこと。井上靖というと、もうすでに亡くなった昔の作家ですから、原作のままでは古臭さがあったのかもしれません。が、設定変更の甲斐あってか、現代の物語として違和感なく見られます。これが井上靖原作なのかと驚かされます。
また、現代的にスケールアップをはかるために、舞台を原作の前穂高からあえてK2に変えたとのこと。当然そのために撮影もはるかに困難になったことと思いますが、そこにあえて挑戦したところも評価に値します。

主演の玉木宏は、正直あんまり好きな俳優さんではなかったんですが、このドラマでは堂々たる山男ぶりです。本当の山男であるかのような重厚な貫禄が伝わってくるから不思議です。
山本太郎も、普段はわりとおちゃらけたイメージがありますが、このドラマではしっかりと山男になりきっています。こちらもナイスキャスティングだと思います。

…とベタ褒めしてしまいましたが、なにしろNHKの本気が伝わってきて、いい作品になっていそうな予感がします。NHKということでノーマークだった方も、ぜひご覧になることをおすすめします。

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