2006/1/15

白夜行(木曜9時 TBS)

少女のために父を殺した少年と、少年のために母を殺した少女。壮絶な宿命を背負ったふたりの14年間を描くミステリー。東野圭吾さんによる同名小説が原作だそうです。
これ、今クールのドラマの中でも、もっとも期待しているもののひとつです。第1話を見終えて、その期待に違わぬ名作の予感を感じています。

ドラマの冒頭では、いきなり主人公・桐原亮司(山田孝之)が、サンタクロース姿で、胸をハサミで刺され、道に倒れているシーンが描かれます。そしてそれを見つめるもうひとりの主人公・唐沢雪穂(綾瀬はるか)。でも、雪穂は亮司のもとに駆け寄ることも助けを呼ぶこともせず、黙ってその場に背を向けます。
このシーンで、まず「このふたりに何が起こったんだろう?」と、否が応でも興味をそそられます。最後まで見るとそれが明らかになるんでしょう。うおー、気になります。おいら、すっかり制作サイドの術中にはまっています。

ドラマはこの後、1991年、主人公ふたりの少年少女時代に遡ります。
ここで、少年による父殺しと、少女による母殺しのいきさつが描かれます。小説では最後に明かされるこのエピソードを、ドラマでは最初に持ってきたということらしいです。このエピソードを描ききるのに、初回スペシャル2時間ほぼまるまるを費やしていますが、長さを感じさせない、引き込まれる展開でした。

また、この1991年のシーンでは、この年の世相を反映した描き方に感心させられました。『101回目のプロポーズ』の有名なシーン「僕は死にましぇん!」を少年少女が真似てみたり、画面の小さいワープロが登場したり。ああ、あの頃ってこうだったよね、と共感させられます。(多少わざとらしさを感じなくもないですが。)脚本を手がけたのは、森下佳子さんという方。優れた脚本家さんだなと思います。

第1回のラストでは、事件から7年が経過し、普通の高校生として暮らす亮司の前に、刑事・笹垣潤三(武田鉄矢)が再び現れます。この、ふたりが道路を挟んで対峙するシーンでは、山田孝之のこれまで見たこともないようなシリアスな表情にドキッとさせられました。今後の展開に非常に期待させられたところで第1話終了。このへんも上手いなあと思います。

主役に山田孝之と綾瀬はるかをもってくるキャスティングは、いうまでもなくドラマ版『世界の中心で、愛をさけぶ』と共通しています。
『世界の中心で、愛をさけぶ』との共通点はほかにもあります。『世界の中心で、愛をさけぶ』で主人公・朔太郎の同級生を演じていた田中幸太朗が若手刑事役で登場していたり、主題歌を柴咲コウが歌っていたり。脚本家の森下佳子さんも、『世界の中心で、愛をさけぶ』に引き続いての登板です。
どちらも同じプロデューサー・石丸彰彦さんが手がける作品ということで、このように共通点を持たせることによって、二番煎じを狙っているところもあるんでしょう。が、二番煎じにありがちな安易さを感じさせない出来だと思います。僕は、ドラマの良し悪しをみるときにプロデューサーさんに注目する傾向があるんですが、このプロデューサーさんの名前は記憶にとどめておこうと思います。

…と、あらゆる面でベタ褒めです。間違いなく最後まで見続けることを誓います。

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